今回は、宣伝も兼ねてご紹介をば。
こんにちは、野田大志です。
広島大学北京研究センター編集の機関誌『北研学刊 特集号・日本語の複合動詞(通巻第五号)』が、中国語関連の出版物でお馴染みの
白帝社よりようやく刊行され、野田の元にも今日ようやく届きました。
この機関誌は、広島大学北京研究センター(北京研究中心)が研究成果を広く公開するために1年に1回、白帝社より刊行しているものです。
基本的に、センターの関係者の先生方が主に中国語や中国文学に関する中国語論文が掲載されることが多いのですが、通巻第五号となる今回は、“特集号・日本語の複合動詞”ということで、センター関係者に関わらず、中国・日本・韓国・台湾・香港における日本語複合動詞の研究者による19篇の論文と1篇の資料が掲載されています。
この特集号に、ありがたいことに、拙論「現代日本語における複合動詞の意味形成-構文理論による分析-」も掲載していただいております。(去年の11月に名古屋大学での国際シンポジウム「異文化としての日本」で今回の論文の基盤となる内容のポスター発表をしたのですが、それを、特集号の編集者のお一人である中国の大学の先生が見てくださったことがきっかけで、この特集号への投稿依頼をいただいた、というのが掲載決定までの簡単な流れです。残念ながら(?)野田自身は、広島大学北京研究センターとはこれまでは縁もゆかりもありませんでした。ありがたい、奇遇でした。)
拙論は、複合動詞の意味形成について、認知的な構文理論(construction grammar)を援用するとどう分析できるか、といった試論的なものです。ポスター発表の内容をはじめ、これまでの自身の研究成果(日本認知言語学会論文集第7巻・第8巻に掲載された論文&第9巻に掲載が決まっている論文など)をもとに書きました。
様々な語形成パターンを有する複合動詞をほぼ網羅的に扱っているがゆえに、全体像は提示できたものの細部に関する詳細な言及は(字数制限の問題もあり)なかなかできず、不備・問題点も多々ありますが、複合動詞研究に対して、多少なりとも新しい方向性を提示できるのではないかと考えています。(し、個人的にも、今の段階での、これまでの研究を振り返って整理する良い機会になりました。それから、刊行に至るまでに、校正等に関する出版社とのやり取りが何度もあり、これも初の、良い経験になりました。白帝社の担当者様、ありがとうございました!)
さて、今回の特集号の掲載論文は、文法論的なもの、語彙論的なもの、認知的なもの、文化的なものをはじめ、そのアプローチは実に様々で、いずれも興味深いものです。(中国語論文2本にはその論文の筆者による日本語要旨が、それ以外の論文にはその論文の筆者による中国語要旨が掲載されています。)
また、資料「日本における複合動詞研究-主な参考文献目録-」には、1930年代以降の日本国内の複合動詞に関する研究論文・著書が掲載されていて、便利です。(筆者の論文も2本掲載していただいています。)
現時点では、広島大学北京研究センターのホームページでも白帝社のホームページでも、今回の特集号の詳細情報は掲載されていないので、以下に掲載論文情報(執筆者とタイトル)を載せます。ご興味がおありの方は、白帝社にお問い合わせの上、ぜひお買い求めください。(それから、この特集号に関して何かお知りになりたいことがございましたら、可能な範囲でお答えしますので、野田までご一報くださっても結構です。)
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◆書名:『北研学刊』特集号・日本語の複合動詞(通巻第五号)
◆編集:広島大学北京研究センター
◆発行:白帝社
◆掲載論文一覧(執筆者については敬称略):
・于康(関西学院大学教授):日语复合动词研究与日语复合动词教学-研究方案试论-
・彭広陸(北京大学教授):複合動詞における後項動詞の意味指向をめぐって
・張威(清華大学教授):小学校国語教科書に対する複合動詞の実態調査とその分析-第二言語習得学習ストラテジーの改善をめざして-
・林璋(福建師範大学教授):「V+かける」构成的体
・兪暁明(北京語言大学教授):複合動詞と再出発系構文
・修徳健(中国海洋大学教授):程度進行を表す「~こむ」の複合動詞について-日本語教育の立場を通して-
・守屋三千代(創価大学教授):認知言語学から見た複合動詞-複合動詞はなぜ日本語話者にとって「易しい」のか-
・于乃明(台湾政治大学教授)・林高徳(台湾立徳大学講師):日本語複合動詞の語学的研究-論と応用の接点を求めて-
・何志明(香港中文大学助教授):香港の日本語学習者の複合動詞習得の現状
・張勤(中京大学教授):言語行為動詞についての覚書-複合動詞との関連から-
・李暻沫(韓国放送通信大学教授):複合動詞の中の日本文化
・杉村泰(名古屋大学准教授):Web検索を利用した複合動詞のV1+V2結合に関する記述的研究
・王彦花(清華大学教授):複合動詞を構成する「-おわる」、「-きる」の使用研究
・韓麗娟(首都師範大学副教授):複合動詞の始動を表す「~はじめる」と「~だす」
・百留康晴(島根大学講師):複合動詞後項「-渡る」の通時的研究-文法化の観点から-
・晋萍(上海海事大学講師):日本語の複合動詞とそれに対応する中国語の表現形式
・野田大志(名古屋大学大学院博士後期課程):現代日本語における複合動詞の意味形成-構文理論による分析-
・許琴芳(北京大学大学院博士課程後期):「~こむ」「~こめる」複合動詞における後項動詞の意味指向の記述的研究-自他交替の可能性にふれて-
・高永茂(広島大学准教授):日本語複合動詞アクセントの現状-日本人話者と中国人留学生を対象としたケーススタディ-
・于康(関西学院大学教授)・佐藤暢治(広島大学准教授)・佐藤利行(広島大学教授):日本における複合動詞研究-主な参考文献目録-